星ナシ

吉祥寺の「召し上がれ」っていう名前のフランス料理屋さんで夕食。それほど広くない落ち着いた店内で、お客は5組ほど。前菜はまあまあ。スープは普通。なぜかパスタがあって頼んでみたらおいしくなかった。メニューに入れないほうがいいと思う。メインの肉料理はまあまあおいしかったけど、「91年のブルゴーニュでございます」と言ってついでくれたグラスワインがものすごーく、すっぱかった。ヴィネガーになりかけてるからハウスワインで出しちゃえというかんじ。91年で700円でもちーとも嬉しくない。
でも一番気になったのは隣のテーブルの男性二人組。一人はバブルの頃によくいたデザイナーズスーツにロン毛。もう一人はチェックのシャツをインで板前カット。ちぐはぐな二人が差し向かってノートに何か書きながらワインを飲み散らかしていた。大量にワインを持ち込んだみたいで、廊下にあるセラーからワインを取ってくるのに始終出たり入ったりして落ち着かない。グラスを傾けて「澱がどうの」、口に含んで「ファーストインプレッションがどうの」、ニオイをかいで「01年っていうのはホントに出来がよくないね」などとうんちくをたれているのがおかしくて笑ってしまった。何がファーストインプレッションだよ。
ワインスペシャリストでも取るつもりで勉強してるんだろうけど、そんなのは店にお願いして営業時間外にやるべきだろう。新しいのを開けるたびにいちいち店の主人に1杯進呈するから(持ち込み料がいらないお店はだいたいそうだけど)、主人もいい加減にほろ酔いで、厨房から料理が出てるのになかなか気づかない。エスプレッソを頼んでいるのになかなか持ってこず挙句の果てに「お飲み物は?」なんて聞きに来る始末。お会計で14,000円ですと言われて素で嫌な顔をしてしまった。14,000円というのは普通で言ったら全然高くないというか妥当というか、もちろん普段のわたくしにしたら大変にお高いけれどもこういうお店にしては安いほうだと思う。だけど、あれでこれは高いよ。おいしくて雰囲気がよければそれなりの対価を払うのは全然かまわないけど、このお店はその対価に値しないと思った。