「暗い日曜日」を見た 

ビデオで。 
ビリーホリデイの『GLOOMY SUNDAY』をリピートして聞いていた時期があった。部屋を暗くして、浮かび上がるコンポの表示を体育座りして。暗い。暗すぎるっ。別に不倫の恋に悩んでた訳じゃないが(笑)。 
この曲を聴いて自殺する者があとを絶たなかった、イギリスではラジオで放送禁止になった、作曲者も自殺した、などのいわくつきの曲。それをモチーフに80年代に書かれたフィクションの映画化。 
ヨーロッパ映画、しかもドイツなんていうともうまさに暗い日曜日な内容だと思っていたんだけど、こりゃあ見事なエンターテイメントだわ。 
舞台は戦時下のハンガリー・ブタペスト。1人の女と3人の男の人生軸が交錯する、とある1軒のレストラン「サボー」。ここで女と男は恋に生き人生に悩み、名曲が生まれそして一人歩きする。それに歩調をあわせるかのごとく台頭するナチスドイツ。それぞれに回り始める4人の運命が、現代のブタペストに繋がっていく・・・『暗い日曜日』と共に。あらすじはこちら。 
切ない旋律が流れる美しいブタペストの街、人生の悲喜こもごもや切なさや愛しさ、弱さや力強さも、包み隠して静かに泣きながら流れる青きドナウ。嗚呼! 
公開時に何で見なかったんだろうと、ちょっと後悔。当時シャンテで、次回上映といいつつ、いつまでたっても公開されなくて、結局タイミングを逃してしまったのよ・・・。 
でもって、個人的に気になること二つ。  
①見る者を笑顔にするラスト。ザッツエンターテイメント!でも、検死したら毒盛られたってバレちゃうのでは?戦時中の怪しい薬だから検出されない、としたらスゴイ。世界に誇るドイツ製だったりしてね。 
②現代の店主、もしかしなくてもあの時の・・・よね。実の父と知っていて母の復讐をお膳立てしたのかしらん? 
現代〜過去〜現代という基本的な構成と、小道具としての写真や手紙の使い方が、もうお手本!みたいな作品。