小さい

夕方コンビニにコピーを1枚取りに出かけたら、ハタチ前後の女子がピアノの楽譜と思しきものを大量にコピーしていた。おお、音大生かしらん。なんかしらないけどここいらでは楽器を持った学生さんをよく見かけるから近所に音大でもあるのかもしれない。それとものだめの影響か?
残高を見ると70円、てことはあと7枚くらいならと適当に待っていたのだけど、残り20円で足元のかばんからお財布を出して無言で100円を追加した。普通まだたくさんやるなら「すいませんまだたくさんあるんで」ぐらい言うだろうからそのまま待っていたんだけど、10枚ほどコピーしてまた無言で100円を入れた。んー。んんん。まあいいよ別に。まだ時間がかかりそうなら雑誌でも立ち読みしてるさ、と思って、
「あとどれぐらいかかります?」
と聞いてみた。一応ね。外面だけはいいからさ。超フレンドリーで、なぜかちょいと関西弁よ。関西弁てこんなときちょっと便利なのよ。そしたら彼女はすごい目でわたくしをにらみつけ、
「こっちは先に来てたんだからそんなこと言われても順番なんだし」
と言った。えええ。別に先にやらしてくれと言ったわけでもなく(やらしてくれたらいいなとはちらっとは思ったけど)、あとどれぐらいかかるか聞いただけなのに何その言い方。面白いからちょっと挑発。
「あとどれぐらいかかるか聞いただけですよ?」
「ちょっとです!(怒)」
「ちょっとって何枚ぐらいですか?」
「あとちょっとです(激怒)!!!!!」
とそのとき絶妙のタイミングで画面に用紙切れのサインが。もうぷりぷりしながら店員に紙をもってこさせ、その微妙な間の間も無言。そのうち高校生が3人入ってきて試験のハナシをしながらノートのコピーをどうのと私の後ろに並んで、さあどうする。
また100円追加したんだこれが。びっくりした。なんかもうどうでも良くなって、他のコンビにに行こうとしたとき、画面にでっかく「中止」のサイン。黒のトナーが切れたらしい。
すると彼女はお金の返却ボタンを10回ぐらい連打して残金を財布にしまい、大量のコピーと原紙とをかきあつめてやたらめったらにギュウギュウとカバンに詰め込み、そのままぶおーんと出て行ってしまった。びびびびっくりした。ハトに豆鉄砲。わたくしに音大生だ。
そのまま「中止」になってるコピー機を目の前にしてそのままほっとくのもなんなので、仕方なく店員さんをよんで、トナーを入れ替えてもらって、それがちょっと不調だったりしてまたしばらく待つ。「もう少々お待ちください」って言われたんだもんしょうがない。かくしてたった一枚のコピーをとるのに25分もかかってしまった。
自分が考えているスタンダードというのは勝手に考えているスタンダードであって世の中のスタンダードではないということもあるのだ。もしかして借りた楽譜を30分後に返さなきゃならなかったのかもしれないしね。でも当て逃げにあったような、なんか理不尽に陵辱されたような、とにかく不愉快な気分。「そんなちっせぇやつがどんないい音楽奏でようってんだバーカ!」って言ってやれば良かった。小さいな自分も。