クダゴンベ

くぅぅぅだごんべ

透明度は悪いけど大物からマクロまで魚影濃いし、無制限ダイビングで好きなだけ潜れるし、目の前5メートル先がドロップオフだし、潜るためだけにあるようなダイバー垂涎の海なんだけど、いかんせん遠い。遠いというか乗り継ぎ乗り継ぎで面倒、なので毎回「来年行こう」と先送りしてきたシパダン。今年限りで入島できなくなってしまうということを聞いて慌てて行ってきた。島にある6軒のホテルも全部クローズさせられるらしい。もったいなーい。環境保護のためにマレーシア政府が決めた政策だからしかたないけど、環境悪化はダイバーのせいというよりはむしろ生活排水のせいだと思うあの水上集落を見る限りは。しかもシパダン島上陸は禁止でも潜るのはOKなんだそうで、来年以降はダイビングクルーズで潜るか、マブールからボートで行くかすればいくらでも潜れるそうである。何かが変。まあでも今回行くまでシパダンがマレーシアなのかインドネシアなのか分かってなかったわたくしに環境問題云々を語る権利ナシ。
 
しかしほんとに遠い。関空→クアラルンプール→コタキナバルで一泊して→タワウ→センポルーナ→ようやくシパダン。ふぅ。しかし飛行機の中ってどうしてあんなに寝る暇もなく食事食事なんでせうか。や、マレーシア航空の機内食おいしいし、スッチのお姉ちゃんたち美人ぞろいだから大好きよ。東南アジア系航空会社の制服はそそらりるしねー。あの体の線がよだれ(やめれ)。
 
一緒に潜ったドイツ人とイギリス人のカップルが「ろんぐのーずぶしゅばしゅ」を見たか??6匹ぐらいいただろう?と興奮して言うので、残念ながら見てないと言うと次に見たら教えるから!とニッコリ。わたくしもニッコリ。言語も文化も違う人間が、同じ趣味のもとに集まるとすぐに仲良くなれる。アニメオタクの世界ってこういうかんじなんだろうなきっと。
 
で、休憩後に潜っていると、後ろから大声が聞こえた(水中でも声は聞こえる。何を言ってるかは分からないけど)。振り返るとイギリス人のだんでぃジョンさんがホラコレコレ!と海しだの間を指差している。ものすごい珍しいやつを見つけたのかと思ってのぞきこむとクダゴンベがいた。沖縄とかサイパンとかでよく見かける5センチぐらいの可愛い魚だ。OKサインを出すと満足そうににっこりした。
 
エキジット後ボートの上で二人はものすごく興奮して「僕は3匹見た」「僕なんかもっと見た」と自慢しあっていた。タンクを下ろしてる私たちにも「見たでしょ?ね?」と言う。
 
「ろんぐのーずぶしゅばしゅ?」
「そう!」
「出たの?どこにいたの?」
「キミに教えただろ?」
 
ダゴンベのことだったんだね。「ろんぐのーずぶしゅばしゅ」はドイツ語で、英名は「ロングノーズホエールフッシュ」。
 
日本語では「クダゴンベ」って言うんだよと教えたら、ドイツ人のティモちゃんが「そんなんじゃ鼻が長い感じがしないよぉ〜足りないよ〜」と文句を言う。あたしに言われても困るんだが。
 
「何かもっとほかにいい名前ないの?」と言うので「じゃあクゥゥゥゥゥゥゥダゴンベはどう?」と言ったらものすごくツボに入ったらしくそのあとずっと「くーーーだごんべ」を連呼していた。ヨーロピアンには珍しい魚なんだろうか。何故にそんなに好きなんだ。
 
来年紅海でまた会おうよと言う。ヨーロッパからは4時間ぐらいでいける一番近いきれいな海なんだそうである。日本からはめっちゃ遠いし、今このご時世に中東なんかこわくていけないよ言うと「大丈夫、下のほうは治安いいよ」という。うーんそうはいってもそう簡単には行けないっスよ。ティモちゃんブッシュにプレッツェルをプレゼントしてよ。特大のやつ。